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初学者のひとりごとメモ
カテゴリ: カンファレンス・イベント
LTVから考えるUIデザイン[完全版]
投稿日:2024年3月20日
「泥臭く語るUIデザイン会」さん特別回、株式会社ベイジ代表 枌谷力氏の登壇を聞いて来ました。
(スライドをURL配布して手元で見られるようにしてくださったの大変ありがたかったです……!)
印象に残った部分
リソース配分の優先順位、UIの重要性などは、事業フェーズによって変わる
立ち上げ期~成長期ほどリソース製薬が大きく、とにかく数を速くこなすことが重要であるため、この段階でデザインの理想論や「こうあるべき論」に振り回されてしまったりすると失敗しやすい。
そこを気にするのは成熟期から。
しかし現実を見ると、種々の理由により、事業上の優先度と関係なくUI改善が進んでしまうことも多い。
(これは人間の学習姿勢においてもそうだな……と痛感しました)
デザイナーも積極的にクライアント側(ビジネス側)に働きかけていくのが重要
CxOや責任者に委ねるだけでなく、デザイン側が積極的にビジネス側に働きかけていくことで、デザイン領域の地位向上・信頼獲得に繋がる。
デザイン側もビジネス側と同じ視座・共通言語(=数字)をもって話す。
(デザイナーはビジネスのことはわからないだろう、という世の中の先入観を打破していかないと、デザイナー領域が安く買われる状況は改善していかないんですね)
売上重視型とLTV重視型の違い
売上重視型は既存顧客より新規顧客を重要視するが、LTV重視型は既存顧客を重要視する。
ひとつの顧客を継続的にサポートすることで、結果的に得られるメリットが大きい。
LTV重視型はBtoBとも噛み合いがいい。
LTVマップを作るための会議を皆で行う
LTVマップを作るためのワークショップは、各関係者を交えて2時間~4時間くらいかけて行う。こうすることで、関係者全員が「自分ごと」として認識してくれる上、共通認識の醸成がしやすい。
2種類のリサーチ方法について
仮説検証型とアイデア発見型では、仮説検証型の方が難易度が低い。
ただし、前提となる仮説はLTVツリーからしっかりと導き出すこと。
ワイヤーフレームについて
ベイジでは、ワイヤーフレームをデザイナーに一任するのではなく、複数人で議論しながら作る。
質疑応答
Q. 品質重視になってきた段階で、スタートアップ時からのお客様に対しても値上げなどが入ることになると思うが、そういった時の付き合い方などをどうすればよいか
A. 結局値段は上げざるを得ないので、そこで値上げを拒まれるようであればもうお断りする覚悟で付き合う。
Q. 既存顧客を優先すると、デザイナーやエンジニアが退屈してしまいがち問題をどうしているか
A. コンテンツデザインの方に横展開していくことで、デザイナーやエンジニアを飽きさせない工夫をしている。
Q. 新規顧客と既存顧客のバランスをどうしているか
A. 新規:既存=3:7くらい。それぞれの対応チームを分けている。
Q. 「人件費を下げる」vs「サポートの質を上げる」のように、負の相関関係にあるボトルネックに対してはどうすればよいか
A. 今は図にする都合上、こういったざっくりした括りで書いているが、実際はマップの解像度はもっと高い。解像度が上がって細分化されていくと、そこまでシビアに負の相関を気にしなくてもよくなってくる。
Q. LTVマップ作成会議は2~4時間で本当に終わるのか
A. 各種事前準備をこちらでした上での2~4時間。
Q. 「LTVに対する影響」の判断が難しい
A. クライアント側のそれなりの立場の人に判断してもらう。
あとはもう、一旦決めた方向に向かってみて、駄目そうなら軌道修正する。最初から「決めたら必ずこのやり方をやり通す!」としない。
Q. KPIなどはクライアントに宣言した上でコミットするか
A. クライアントがまず望んでいるのは「同じ目線・共通言語(=数字)で話をしてほしい」の部分なので、コミットすることを深刻に受け止めすぎなくてよい。事実、それでクレームが来たという話はほとんど聞かない。
Q. 案件単価について
A. 企業による。スタートアップだと300~500万、成長期以降では2000万くらいのものもある。